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「――――トリックオアトリート!!」
 家の玄関を開けた時、第一声がそれだった。
 今日も清々しいほどの晴天が眩しい魔法の森。
 ちょっと昼時でも寒くなってきた季節。
 魔法の森で数少ない化け物茸の胞子や瘴気がない場所だけあって、小鳥の囀りが聞こえる。
 そんな気持ちの良い日に目の前には変な集団がいる。
 夜のように黒いマントを纏って、頭には同じ魔法の森に住む魔法使いの人間が被っている古典的な魔法使いが被っている黒いとんがり帽子。
 しかし、全員帽子をちゃんと被れていない。
 帽子の下から白い大福のように丸い兎耳が二本垂れている。
 妖怪兎五羽がそんな安っぽい魔法使いのように見受けられる姿をして玄関にいた。
 そしてその兎たちの丁度中央にいる一羽の兎の顔を私は何度も見ている。
「……なんなのよ、てゐ」
「なんなのって、『はろうぃん』だよアリス」
 そう言って、癖っ毛の強い黒髪を靡かせながら、妖怪兎の因幡てゐはニカッと笑った。
 幻想郷にある竹林、通称迷いの竹林の奥にある屋敷、永遠亭に住んでいる兎たちのリーダー。
 イタズラ好きで、好奇心旺盛な子供のような兎。
 私の友人である月の兎である鈴仙・優曇華院・イナバにとてもなついている。
 鈴仙とてゐを見ていると姉妹のように仲良く、姉や妹などいない私にとっては少し羨ましい光景にも見える。
 よくてゐは鈴仙に抱きついている。
 鈴仙も嫌がっている様子もなく、いつものように彼女の頭を撫でる。
 その光景を見ると羨ましい。と何度思ったことか。
 羨ましい?
 私はなんでそんなことを考えているのだろう。
 私は何を考えているのだろう。
 子供相手……って、てゐは私より遥かに年上って言っていたわよね。
 だけど言動がどうみても子供のように見える。
 そんなことを言うのは失礼だから言っていないけど、どうしても年上には思えない。
「『はろうぃん』は他人の家に行ってお菓子をもらう、外の世界の行事だよ〜」
「いや、それは知っているけど……」
 ハロウィンくらいなら知っている。
 実際には体験したことがないが、外の世界では今のような季節になると仮装した子供たちが他人の家を訪ねて「トリックオアトリート! お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!」と言ってお菓子をもらっていく行事である。
 最初にそれを聞いた時には、そんな強奪紛いのことをやるなんて外の世界はなんと恐ろしいと思ったが、全員がそういうのを把握していれば問題はないと理解した。
 幻想郷ではそのような行事はないと思っていたが、やる者がいたとは……。
「だーかーらー、アリスお菓子頂戴よー」
「なんで私なのよ。他の場所にしなさいよ」
「だって、幻想郷で美味しいお菓子を持っていそうな知り合いなんて、アリスしか思いつかなかったし」
「私以外にいるでしょ、例えば……」
 例を挙げようとしたが、考えてみるとあまり思いつかない。
 こういうのは洋風の行事だし、和菓子を大量に用意するのは大変だろうし、持ち運びやすい洋菓子が良いに決まっている。
 幻想郷は和風な者が多いから甘い物と言えば和菓子が大半である。
 洋菓子を持っているところなんて、私の記憶では紅魔館ぐらいしか思いつかない。
 しかし、あまり紅魔館の者と面識あるとは思えない永遠亭の兎たちが、いきなりハロウィンをやりに行ったら危険である。
 恐らくてゐも危険なことを判っているから、それを避けてここに来ているのだろう。
 だがそんないきなりお菓子をよこせと言われても無理な話である。
「そんな突然来ても無理よ」
「えー」
 不満そうに頬を膨らませる五羽の兎。
 無理な物は無理である。
「お菓子をくれないとイタズラするぞー!」
「貴女は年がら年中イタズラしているじゃないの」
「うー…………じゃあ、あれならどうよ!」
 そう言うとてゐは駆け足で迷いの森へと走っていった。
 他の兎たちも突然のてゐの行動に慌てて後を追いかける。
 あれって何よ。
 そう聞こうと思っても、既にてゐの姿は見えなかった。
 ってことはまた来る可能性がるのね。まぁ、今日は出かける予定もなかったし、別に待っていても良いか。
 だけど、またお菓子を請求してくるのかしら。
 あれって、本当に何かしら。
 てゐの不自然な言動に首を傾げながら、私は取り合えず玄関の戸を閉めた。

     ☆

 アリスのケチ!
 せっかく私たちが『はろうぃん』をマネているのに、追い返すなんて信じられない。
 こうなったらイタズラしてやるわよ。
 あのクールな落ち着いた表情を真っ赤にしてやるわよ。
 私は一直線に走る。
 他の兎たちは、わけも判らない様子で後をついてくる。
 覚悟していなさいよ、あの人形遣いめ。
 このてゐ様を怒らせたらただじゃ済ませないわ。
 イタズラのために駆ける。
 リズム良く、飛ぶように、風を切って駆ける。
 邪険に扱った報いを。
 冷静沈着な魔女の顔をトマトのように真っ赤にするため。
 そして私の眼のほようのためにも。
 私は向かう。人間の里へ。
 私は向かう、あれが置いてある場所へ。
 待っていなさい、待っていなさい。
 私を怒らせたら怖いわよ……。
 ふふふ……。 

     ☆

 てゐがハロウィンの真似事をして来てから結構な時間が過ぎた。
 まだかまだかと待っていたが、中々やってくる気配はなく、いつも通り新しい人形作成や人形劇のお話などを考える作業を行なう。
 もしかして他のことに気が行って忘れているのではないだろうか。
 それはそれで問題はないが。
 とにかく今は人形作りをしないと。
 現在は人形の洋服作り。
 チクチクと布を繋ぎ合わせる。
 チクチク、チクチク、チクチク。
 黒を基調とした布を縫い合わせる。
 チクチク、チクチク、チクチク。
 つい最近、人間の里で見たゴシックロリータの服を見た。
 短いスカートにフリルが沢山ついて、胸の部分が変に強調されている少し色っぽい洋服だった。
 なんでそんな物が置いてあるか判らなかったが、売っている店の奥にひっそりと置かれていた。
 恐らく外の世界の物が紛れ込んだが需要がないが、一応売れる可能性があったかもしれないから店主が置いていたのだろう。
 生憎持ち合わせがなかったから買えなかったが、今後の資料として結構欲しかったかもしれない。
 大体のデザインはその時に覚えていたから思い出しながら作っている。
 ただ、細部までは思い出せないのが辛い。
 チクチク、チクチク、チクチク。
 作業場はとても静かで、静寂に包まれている。
 雑音が聞こえずとても集中できる。
 置かれている無数の人形たち。
 私の作った可愛い子供たち。
 あまり慣れない者にはこの部屋の雰囲気に恐怖するらしいが、私は毎日この部屋で沢山の人形たちと接しているからその感覚が理解できない。
 皆可愛いのに。
 なんで理解してくれないのかな。
 うーん、なんでだろう。
 チクチク、チクチク、チクチク。
 チクチク、チクチク、チクチク。
 ドンドン、ドンドン。
 良い具合に集中し始めた時に、乱暴に玄関のドアをノックする音が響く。
 今まであった雰囲気が一瞬で消え去り、とても集中できる雰囲気ではなくなった。
 やっと来たわね……。
 作りかけの布を作業机に置き、喧しくノックされる玄関へと急いで行く。
「アリスー」
 ドンドンと喧しくノックする音と、てゐの声が聞こえる。
 いったい何を用意してきたことか。
 不用意にドアを開けるのはいけない気がするが、このまま喧しい音を家の中に響かせるのも許せない。
 ノック音を止めようとドアを勢いよく開ける。
「うわっ!」
 丁度ノックしようとしていたてゐが空振りする。
 予想通り、先ほどと同じような姿をしているてゐと四羽の兎。
「貴女たち、まだハロウィンの真似事なんてやっているの?」
「真似事とは失礼な! 私たちは真面目にやっているのよ!」
「だからって私にたからないでよ!」
 良い迷惑である。
 しかし、てゐは不適な笑みを浮かべる。
「ふっふっふ、しかし、今回はアリスもお菓子を出さないといけなくなるわよ」
 自信満々に不気味な笑みを浮かべるてゐ。
 何か用意していたわね、と何が来るか判らないから身構える。
 するとてゐは後ろに振り向き、腕を伸ばす。
「さぁ! これでも出さないと言う……あれ?」
 振り返ったてゐは首を傾げる。
 どうやら私からお菓子を巻き上げる方法を用意したらしいが、その用意した品がないらしい。
「い、いない! 全羽周辺を捜索しなさい! さっきまではいたはずだからこの周辺にいるはずよ!」
「りょ、了解!」
 兎たちは転がるように四方に散った。
 そして私の家の周辺を捜索し始めた。
 どうやらその用意というのは生き物らしい。
 だけど、どこかに隠れてしまったようだ。
 恥ずかしがりやなのかしら。
 隣で腕を組んで苛立っている様子のてゐだが、貴女も探せば良いのに。
「てゐ隊長! こっちに隠れていました!」
「よし! 引っ張ってきなさい!」
「了解!」
 何かを発見した兎が私の家の裏から、その何かを引っ張っている。
「諦めて出てきてください!」
「いや〜〜!」
 ん? どこかで聞いたことのある声が聞こえる。
 グイグイと兎が家の影に隠れている誰かを引っ張っている。
 その誰かはかなり抵抗している様子である。
「いい加減にして……くださいッ!!」
「うわっ!」
 グイッと力強く兎が引っ張ると、家の影からその聞き覚えのある声の主が姿を現した。
 膝まで伸びた薄紫色の癖がない髪を伸ばし、頭からはてゐたちとは違う細く不自然にシワが入った長い兎耳を二本生やす。
 大人びて整った顔立ちをしている林檎のように真っ赤な双眼の持ち主。
 私の友人であり、てゐたちと同じ永遠亭に暮らす兎、鈴仙が現れた。
 しかし、その姿が奇妙だった。
 そこには黒を基調とした洋服に真っ白なフリルが無数についている。
 短いスカートに胸の部分が変に強調されて色っぽいゴシックロリータ。
 私が人間の里で見たゴシックロリータの服である。
 それを鈴仙が着ているのである。
 鈴仙はあまりこういうのは着慣れていないのか、胸の部分を腕で隠し、スカート部分を恥ずかしそうに押さえている。
 鈴仙は恥ずかしそうに頬を紅潮させていると、彼女を引っ張った兎が背中を押して私の前まで連れてくる。
 滅多に見れない彼女の姿。
 これがてゐの言っていた用意か……。
 ……可愛いわね。
 って、いけない、私は何を考えているのよ。
 たしかに可愛いけど、これだけで私の心が揺れるとでも思っているのかしら。
 とにかくここで、てゐの要求を呑むわけにはいかないわ、負けた気がするし。
 と言うか、この服はいったいどうしたのだろうか。
 永遠亭の住民の持ち物だろうかと思ったが、あんな純和風の屋敷でこんな洋服を買う者がいるとは思えない。
 それにこれを人間の里で見たのはつい先日。ますます謎が深まる。
「この服、どうしたのよ?」
「ふっふっふ、私の話術で人間の里から手に入れてきたの」
「だから、なんでこれを買ってきたのよ?」
「特に意味はないわ! どう? アリス? この鈴仙様は!?」
 自信満々にてゐは洗濯板のような平らな胸を張る。
 この子、私が欲しがって買って来たのか、それとも偶然買って来たのか。
 いや、絶対私が欲しがっていたのを知っていたわね。
 どうやって? まさかあの服を見ている時に見られていた?
 不可解な偶然に首を傾げていると、てゐが恥ずかしがる鈴仙に近づく。
「ほらほら、鈴仙様、先ほど言ったことをやってください」
「えぇ……さっきのって、あれ……?」
「そうです! アリスに向かって!」
「何か意味あるの、てゐ?」
「大有りですよ! ささ、早く早く!」
 てゐが鈴仙に対して何かを急かしている。
 なんだろう。鈴仙はあまり乗り気じゃない様子だけど。
 すると何か渋っていた鈴仙だが、私に向き直り恥ずかしそうに顔を伏せる。
 む、何かを鈴仙がやる様子である。
 身構えて鈴仙の言葉を待っていると、ゆっくりと頭を上げ、上目遣いで恥ずかしそうに私を見た。
 もごもごと口を動かし、意を決したように口を開いた。
「……とりっく……おあ、とりー……と……」
 恥ずかしそうに、鈴仙は顔の横でなぜか招き猫のように手首を動かす。
 私の反応を伺うようなそんな瞳。
 その姿は小動物のように、まるで捨て猫のように見える。
 拾ってくださいとその小さな瞳で訴えるかのような様子。

 か、可愛い!

 鈴仙は派手めな服はあまり好まない性格である。
 あまり目立つことは好きではないらしい。
 だからその鈴仙がこんな異様に目立つとも言える身にまとっている。
 そのギャップが可愛い。
 そして自分のやっている行為を恥ずかしがっている様子。
 なんて可愛いのだろう。
 可愛い、可愛い。
 恐らくてゐに捕まって無理矢理この服を着せられたのだろう。
 それぐらいならてゐもやりそうだし、恐らくだまし討ちで着替えさせたに違いない。
 しかし、可愛い。
 同姓でも惚れてしまう。
 可愛いなぁ。
 あぁ、この姿をしている鈴仙をもっと見ていたい、眺めていたい。
 だけどそんなことを思うなんて私は変なのかなぁ。
 でも可愛いなぁ。
 家の中に鈴仙を入れたいが、特に理由もないと怪しまれる可能性がある。
 そのためにこのハロウィンを理由にして入れたいが、生憎お菓子がないのが問題だ。
 さて、どうしよう。
 どうやって鈴仙を入れるか。
 どうしよう、どうしよう。
 ふと、こちらを笑顔で見ているてゐがいる。
 その表情はお菓子が食べたいと訴えかけているのがはっきりと判る。
 恐らくてゐは数を増やせば私がお菓子を出してくれると思っていたのだろう。
 だが、いくら兎が増えようとも材料がないので作ることはできない。
 それを理由に適当に断ろうと思った。
 しかし、まさか鈴仙にこんな姿をさせるとは……。
 珍しい物が見れたし、私のお菓子が食べたいのなら食べさせてあげるか……。
「……てゐ」
「なぁに?」
「お菓子、食べたいなら材料買ってきて頂戴」
「え! じゃあ作ってくれるの!?」
「……食べたいんでしょ?」
「うん!」
 てゐや他の兎たちは手を叩いて喜んでいる。
 そこまで喜ばれると、それはそれで嬉しい。
「今材料をメモするから少し待っていてね」
「はーい、私たちと鈴仙様がちゃんと買ってくるわよ」
「え!? 私も!?」
 え、鈴仙が買い物に行くとは、それはまずい。
 私はてゐたちがいない間にデザインとかスケッチしながら鈴仙の姿も堪能しようとしたのに。
 丁度、袖の部分とかの細部が知りたかったところだったし。
 とにかく、それは阻止しなければ。
「鈴仙は私と留守番するのよ」
「え!? なんでアリスが決めるのよ! 鈴仙様は私と買い物に行くのよ!」
 私の言葉にもちろんてゐは眉を顰める。
「こんな姿で買い物なんて、鈴仙が嫌がるでしょ」
「そんなことないわよ、ね、鈴仙様!」
「私こんな姿で人里に行くのは嫌よ……」
 鈴仙も私の意見には賛成のようだ。
 元々彼女は引っ込み思案である。
 先ほどもこの姿が見られるのが恥ずかしいから隠れていたのだろう。
 そんな彼女が人間の里に行ったら気を失ってしまうのは確実である。
「えぇぇぇ! そんな! 可愛いのに!」
「どうせ無理矢理言って鈴仙に着させたんでしょ? お菓子を食べたいなら貴女たちだけで買ってきなさい」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ! そんなこと言ってアリスが鈴仙様の姿を見ていたいだけじゃないの!?」
「ぶふッ!! な、なな、何言っているのよ! そんなことあるわけないじゃない!」
 しかし、図星であるため動揺が隠せない。
 私の反応を見て、てゐはさらに捲くし立てる。
「嘘だッ! 鈴仙様と二人っきりになって、鈴仙様を襲うつもりでしょ! そうに決まっている!」
「ちょ、ちょっとてゐ! アリスがそんなことをするわけないじゃない! 失礼よ!」
「鈴仙様もアリスを信じちゃダメです! きっと何か下心があるに違いない!」
「な、なんで友達に下心を持たなきゃいけないのよ! 私はただ鈴仙の性格を考えて……」
「引っ込み思案の鈴仙様をそれで脅す気ね! なんて極悪!」
 ダメだこの兎、何を言っても聞く気はないようだ。
「だから違うわよ! それ以上駄々を捏ねるのならお菓子作ってあげないわよ!」
「ふぐッ!!」
 おっとこのひと言は効いた様子である。
 一瞬だがてゐが体を大きく上下に動かして固まった。
 すると後方で事の成り行きを見守っていた兎たちがてゐに近づく。
 何やら必死に説得している様子である。
 どうやら他の兎たちはお菓子を食べたいようだ。
 本日の大半はきっとこれに費やしているのだろう。
 それで何も得られず帰ったら全てが無駄になる。
 苦虫を噛み潰したような顔をしながらてゐは悩んでいる。
 相当悩んでいる様子で、眉間に深いシワを作っている。
「い、いいわよ! 私たちだけで買ってくるわよ! 買ってくれば良いんでしょ!?」
 よし、勝った。
 半ばヤケクソ気味に言葉を吐き出しているてゐ。
 それは私にとっては敗者の悲鳴にしか聞こえなかった。
 ふふ、何事もブレインよ、弾幕も駆け引きもね。
「じゃあ、メモを書いてくるわね」
 勝者の余裕と言うのだろうか。
 悔しがるてゐを尻目に私は満面の笑みを作る。
 鈴仙は私とてゐの表情に気づいていないようで、派手な衣装を気にしている。
 さて、てゐたちが買い物に行ったら鈴仙の姿をスケッチしないとね。
 どんなポーズをとってもらおうかしら。
 鈴仙は嫌がるかしら?
 だけど嫌がる鈴仙も可愛いかもしれない。
 可愛い鈴仙、もっと見たいな。
 でも、女性をこんな意識するなんて、やっぱり私は最近奇妙だな。
 なんでかしら。
 まぁ、悪い気分じゃないから良いか。
 私は踊るように楽しい気分で家の中へと戻る。
 魔法の森は今日も清々しい晴天である。

     ☆

 むぅ、不満である。
 せっかくアリスの顔を真っ赤にさせたのに。
 鈴仙様の姿を見たらアリスはあからさまに顔を真っ赤にしていて面白かったのに。
 お菓子を理由に私と鈴仙様が離されてしまった。
 とても不満だったが、他の兎たちに説得されてしまい、泣く泣く人間の里に買い物。
 なんか負けたような気がする。
 悔しいけど仕方ない。
 仕事帰りの鈴仙様を捕まえて、なんとか説得しただけはあったかもしれない。
 アリスが喜んでくれますよ! と説得したら渋々納得してくれたが、服を見て文字通り鈴仙様は脱兎の如く逃げた。
 捕まえて無理矢理着せて、アリスの家まで引っ張ってきた。
 まぁ、アリスのお菓子を食べれて、鈴仙様のあんな姿を見れて。
 今日は良い日になるかもしれない。
 仕方ない、負けを認めるしかないかぁ。




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