湿った空気の臭いを鼻で感じ、私の意識は覚醒する。
 ベッドから身を起こし、眠気を飛ばすように大きく伸びる。
 昨日、魔理沙と弾幕ごっこをやって、気持ちが熱くなってきた辺りで記憶が無くなっている。
 熱くなりすぎてお酒の効果が強くなってしまったようだ。恐るべきお酒。
 衣服も寝巻きに着替えておらず、昨日の宴会の時のままである。しかし、あまり目立った汚れや破けた部分も無く、恐らく昨日勝ったのだろう。うん、そう思えばいい。
 私は新しい服に着替えようとベッドから降りる。
「…………え?」
 降りようと脚を動かす。
 しかし、脚がまったく動かないのだ。
 まだ寝たりないとかそんなのじゃない。
 どんなに力を込めようと、動かない。さらに太ももを抓ってみるが痛みをまったく感じない。
 なんで……?
 とにかく何かしないと、と思い上海を動かそうとする。
 しかし、すぐ横に置かれている上海を動かそうとしてもまったく手応えが無い。
 他の人形も同じように操るが、上海と同じくうんともすんとも言わない。
 この現状により胸の中に不安が生まれた。
 背中に悪寒を感じ、視界も定まらなくなってきた。
 落ち着け、落ち着け私……。
 このままではどうにもならない。なんとかしなければ。





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